世界で革靴の聖地として有名な場所はイギリスの“ノーサンプトン“です。
チャーチ、ジャンロブ、エドワードグリーン、クロケット&ジョーンズ、トリッカーズなど日本でも高級靴として有名な革靴ブランドが集まっています。
実は日本にも“革靴の聖地“と呼べる場所があるんです。
それは、東京の下町である「浅草」です。
浅草は都内屈指の観光地として、国内外からの観光客が多い場所です。
しかし、それだけでなく古くから職人の街としても知られているのです。
今記事では浅草に革靴工場が多い理由と、おすすめの革靴ブランドについてまとめています。
今記事を読むことで、革靴好きの“浅草の魅力“が分かるようになりますので、ぜひ最後まで読んで見てください。
浅草が革靴の聖地の理由
出典:https://san-tatsu.jp/towns/81438/
浅草は昔から、多くの商店や職人が集まる地域でもありました。
そのため、浅草は江戸時代から下駄や草履などの履き物を作る職人が多くいました。
明治時代になって、履き物も西洋化していくと、職人たちも靴を作るようになっていきます。
大正になり、第一次世界大戦が始まると、大量の軍需向けの靴生産の依頼が入ります。
この靴生産の多くを下請けとして担ったのが、浅草の靴工場でした。
この特需で浅草の靴工場は活況となります。
この頃から、一般人も生活様式が洋風化していくことで、靴の需要も上がり続け、浅草は日本の“革靴の聖地“として靴産業を支えていくことになります。
現在は最盛期よりも工場の数は減ったとはいえ、本格革靴を作る技術力の高い工場が浅草には残っています。
次章から、メイド・イン・浅草の高品質なファクトリーブランドから、浅草に拠点を置く本格革靴ブランドについてご紹介していきます。
セントラル靴
出典:https://tradingpost.jp/trading-post/23686/
セントラル靴はOEMとして、日本の数多くの高級革靴ブランドの製造を担っている、1949年創業の老舗革靴メーカーです。
写真はセントラルが製造している、高級革靴のセレクトショップ「トレーディングポスト」オリジナルの最高級ラインである、プレステージ・コレクションの靴です。
グッドイヤーウェルト製法と、マッケイ製法を組み合わせた製法や、シームレスヒールといった非常に技術力の必要な仕様が随所に見られます。
それでいながら、価格は10万円以下とヨーロッパの同品質の高級ブランドと比較すると半額ほどのコストパフォーマンスを誇っています。
この一足からも、セントラル靴が長年培ってきた技術力と品質の高さが分かります。
OEMが主なので、表立ってセントラルの名前を聞くことは少ないですが、これからも日本の本格革靴業界を支えていくなくてはならない靴メーカーです。
RENDO(レンド)
住所:東京都台東区浅草7丁目5−5
浅草駅から徒歩約8分
レンドは2013年に創業した比較的新しいブランドです。
創業者の吉見さんは、セントラル靴でパタンナーとして働いたのち、独立しレンドを立ち上げました。
その経緯があり、レンドの靴はセントラル靴で製造されています。
ブランド名も一つの靴を作るまでに、様々な人の「連動」が必要であるという思いから「RENDO(レンド)」と名付けられています。
レンドの特徴はフィッティングです。
レンドでは創業者の吉見さん自らフィッティングを担当します。
サイズ計測はもちろんのこと、足の特徴に合う靴を提案してもらえます。
筆者は一度レンドで、吉見さんからフィッティングをしてもらった経験があります。
その際は、筆者の足は甲が低いのに足幅は広く、踵は小さいという難儀な足形をしていることもあり、レンドの既成靴では、合うものがないという風に言ってもらいました。
これは、人によってはマイナスに受け取る人もいるかも知れませんが、とても誠実な対応です。
革靴はスニーカーのように、捨て寸や緩いフィット感で履くものではなく、足の中をしっかりと固定したフィット感で履くものなので、ラスト(木型)が足に合うかが何よりも大切なのです。
筆者がそのことに気づいたのは、革靴を何足も買って、失敗もしてからでした…。
レンドではオーダーメイドもやっているので、筆者のような足形の人も、ある程度対応してくれると思います。
山陽山長
出典:https://www.fashion-press.net/news/70749
日本が世界に誇る革靴ブランド山陽山長もセントラル靴が製造を担っています。
山陽山長は世界の最高の素材を使用しながら、セントラル靴の熟練した職人が作る、日本人のための靴です。
革靴の命であるラスト(木型)も日本人に合うものが1から開発されています。
代表的なラスト(木型)である、「R202」はヒールカップを小ぶりに、二の甲を低く抑え現代の日本人の足型に合わせて設計されています。
そのため、後足部は踵でしっかりホールドし、前足部は適度なゆとりを持たせることで快適な履き心地を実現しています。
筆者は「R202」ラストを採用したストレートチップの友次郎を試着したことがあり、そのラストの素晴らしさに感動しました。
上述したように、幅広なのに甲が低く、踵が小さい筆者の足が、試着段階から快適なフィット感を感じることができました。
山陽山長は浅草に販売拠点はありませんが、メイド・イン・浅草の革靴ブランドということでご紹介しました。
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WHEELROBE(ウィールローブ)
出典:https://www.qurious-web.com/product-group/88
住所:〒111-0032 東京都台東区浅草6丁目5−12
浅草駅から徒歩約5分
ウィールローブは2010年に設立された、アメリカのヴィンテージ靴のような雰囲気が魅力の革靴ブランドです。
創業当初はアメリカの工場に依頼して靴を生産していましたが、現在はより日本人の足に合うラスト(木型)に拘るために、日本に生産拠点を移しています。
ウィールローブは世界の厳選された様々な素材を使っていますが、中でもホーウィン社のクロムエクセルレザーが有名です。
オイルを含んだ厚手の革でありながら、比較的柔らかいので馴染みやすいことが特徴です。
浅草にあって、アメリカのヴィンテージ靴のようなデザイン性を備えていながら、日本人の足に合う靴を求めている人におすすめです。
レッドウイングやオールデンなどのアメリカ靴は日本でもとても人気があります。 しかし国産で、レッドウイングやオールデンに負けないアメリカン・ヴィンテージな雰囲気を纏うブランドがあります。 それが今回ご紹介するウィールローブです。 […]
浅草靴誂 (あさくさかちょう)
出典:浅草靴誂公式HP
浅草靴誂はメゾンブランドなどの靴作りを担っていたシューズファクトリーが、2009年に立ち上げた紳士靴ブランドです。
ブランド名の通り浅草の工場で、靴作りの全ての工程を行なっています。
熟練した職人によって、質実剛健なグッドイヤーウェルト製法に拘って作られています。
デザインはクラシカルで、オーソドックスなものが中心となっています。
オーソドックスなデザインなので、ビジネスシーンで使いやすく、勝負靴としてもおすすめです。
全国の百貨店を中心に取り扱っています。
BROTHER BRIGDE (ブラザーブリッジ)
出典:https://brotherbridgetokyo.com
ブラザーブリッジは「大人の日常靴」をテーマに、カジュアルな革靴を中心に展開している本格革靴ブランドです。
ミリタリー、ワーク、スポーツ、そしてトラッドと流行に捉われない要素を基盤としています。
40年代のサービスシューズや、50年代のボクシングシューズなどのヴィンテージシューズをデザインソースとしながら、現代的な解釈を加えたデザインとなっています。
レザーはオランダ産のダッチカーフや、イタリアのオットチェント社のバケッタレザーを使用しています。
アウトソールには、耐久性・グリップ性に優れたドクターソールが多くのモデルで採用されています。
カジュアルなデザインの上質な日常靴が欲しい人におすすめです。
The Ruttshoes &Co.(ラッドシューズ)
出典:https://rutt-shoes.com/pages/story
ラッドシューズは2018年に立ち上げられた新しいブランドです。
「168M」という、拘り抜かれた一つのラスト(木型)を使用していることがブランドの特徴として挙げられます。
168Mは1940年代のミリタリーラストをベースに、“ 曲線の美しい靴 ” を追求して製作されたラストです。
一の甲(土踏まず部分の甲)を低くすることで甲部分のホールド感を向上させ、また土踏まず部分のウエストラインも絞ることでフィット感を高めています。
基本的にはクラシカルなアメリカ靴のデザインです。
ヴィンテージのアメリカ靴をもとに、ワークやミリタリーといった要素を取り込み再構築されたディティールとなっています。
また、特別なオーダーシューズの注文ができることも特徴です。
毎月5足限定で素材やデザイン、製法もグッドイヤーウェルト製法かハンドゾーンウェルト製法か選んでオーダーできます。
オーダーできる素材の中には、ホーウィン社のシェルコードバンも含まれます。
ラギットな要素も魅力のドレスシューズが気になる人におすすめです。
ラッドシューズという革靴ブランドをご存知でしょうか。 浅草発のヴィンテージのアメリカ靴のような雰囲気が魅力のブランドです。 今記事では、ラッドシューズの魅力についてまとめています。 […]
まとめ
リーガルとスコッチグレイン。 どちらも日本を代表する革靴の定番ブランドです。 国内では抜群に知名度が高く価格帯も似ている2社のどちらを買えば良いのか、悩むところですよね。 今記事では革靴が欲しくてヨーロッパにまで行った革靴[…]